僕の愛しい人



※このお話は小松田(秀)→利吉なお話です。
が、相当小松田さんが黒いです。
おまけに利吉さんにヤンデレです。

100%天然な小松田さんがお好きな方は、
ブラウザバックでお戻り下さい;;

黒小松田!大歓迎!な方は↓へ、どうぞどうぞ〜〜♪








僕は決めたんだ。

必ず貴方を手に入れるって。


焦ったりしないさ。
まぁ見ていてよ。

ゆっくり、じわりじわりと
時間をかけて毒が身体を巡るように。

けれど、確実に。

初恋を永遠のものにしよう。




******************



あれは僕が15歳、貴方が17歳の春。
初めて。
家業の手伝いで、注文された扇を学園へ届けたあの日。

満開の桜の木の下で、
新入生より誰よりも輝いて見えたのが
利吉さん、そう、貴方だった。

綺麗で、強く、儚い姿。
優しそうに子供たちの頭を撫でて。

振り分けられた色素の薄い前髪が、
凛とした目元に淡い陰を落とす。

散り惑う桜と同じ色をした口唇は
ふわりと微笑む。


その瞬間。

僕の世界はまばゆい光に包まれた。


初恋で一目惚れ。

貴方はきっと覚えてもいない。
学園に出入りする業者の一人なんて。


それから、何度か出入りして
貴方のことを聞き調べた。


この学園の生徒ではないこと。
けれど、時々、単身赴任の父親に
荷物を届けに来ること。

皆の憧れで、エリート…
15歳の僕が届くはずもない
とてもとても高嶺の花なんだと知った。


でも、
いや、だからこそ。

僕は手に入れたいと思ってしまった。


当たって砕ける?
まさか!
そんなバカな事はしない。

目的は、達成してこそ。

そのための努力は厭わない、と
僕は計画を立て始めた。



学園に中途入学しようか?
いや、生徒になりたい訳じゃない。

独学で忍者になるか?
いや、ライバルになりたい訳じゃない。


そもそも他に替えがきく存在じゃ意味がない。
そんな立場に興味などない。

けれど、フリーの身である貴方が
定期的に必ず姿を見せる「学園」は
押さえておくべき場所だろう。

ならば、ベストなのは…関係者。

すぐに行動に移すには、教師は不可能だ。
ある程度融通の効く、事務方を狙おうか、と。


でもただの事務員じゃ…貴方の記憶になんて
残してもらえない。



そうだ、貴方は、
困ってる人間を放っておけない優しい優しい人だから。
そこにつけ込もう。

ドジで天然、無邪気でおっちょこちょいの年下。

2歳の年の差を利用して。
優しいあなたがつい助けてしまうような、
まずは、無邪気な年下で油断を誘おう。


地味で目立たない、今までの平凡な自分が嫌いだったけど。
今となってはその方が過去を抹消しやすくていい。

貴方を手に入れるためなら、人格だって装えるんですよ。
こんなに貴方を愛しているのは、きっと僕だけ。

そうと決まれば、兄さんにも口裏を合わせて貰わなくちゃ。

学園に対しても、素知らぬふりで行動を起こそう。
忍者志願で押しかけて、失敗し続けて事務員に…。


そうして。

まずは貴方の外堀を埋める、計画が動き始めた。



******************



あれから1年。

思惑通り、僕は
ドジで天然、無邪気でおっちょこちょいの事務員である。

この性格もなれると楽で、結構板についてきた。

そういえばこの間、出茂鹿之助とかいう奴が、
事務員のポジションを狙ってきたけれど。

貴方のために手にしたこの場所は、譲れない。
かといって本性を出すわけにもいかず。

イチかバチか、秘かに心理作戦を仕掛けてみたら、
周囲は良いように僕を解釈してくれて。
結果、彼は勝手に自滅してくれて。


順忍は一番仕事を失敗しない忍びだっていうけど、
本当にその通り。
こういう忍術の仕掛け方も有効なんだと。
一人、笑った。

この一件があってから、
僕は行動を次の段階に移し始めた。

すなわち、より貴方の心に僕の影を落とすべく。
わざと仕事中の貴方の傍に現れるのだ。

傍にいたい。
無関心より、怒られるほうがずっといい。

もっともっと僕のことで困ればいい。

困らせて、記憶に刻んで。
ゆっくり貴方の心を犯そうと。



この想いを貴方は重いと思うかな?

最初はそう思われても仕方ないかも…。
でも、ちゃんと話せばきっと分かってくれるはず。

「利吉さん、入門表にサインして下さいよぉ。」

そうやって付きまとうのは。

貴方が学園に翼を休めに来たら一番に出迎えたい。
貴方が旅立つ時は最後に見送りたい。

その気持ちの表れなんだってこと、貴方は知らない。

我ながら純粋だって思う。

もちろん、まだ、時期尚早。
面と向かってそんなことは言えない。

大義名分を盾にして無邪気に近づけば、結局
貴方は困ったようにサインしてくれるって知ってるから。

今はマニュアル小僧を装って。

門前の小僧、習わぬ経を読むっていうでしょう?
ここは最高の環境だから。

貴方を超える忍びになったその時は。

綺麗な貴方を。
必ず手に入れる。

愛して、誰の目にも触れない場所へ閉じ込めて。


そうして僕なしじゃ
生きられないようにしてあげる。


待っていて下さいね。

逃がさない。


僕の愛しい、愛しい、利吉さん!
















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